警察から呼び出しを受けたら|出頭前の確認・準備と弁護士への相談

警察から呼び出しを受けたら、まず何の件で、どの立場で呼ばれているのかを確認しましょう。そのうえで、出頭前に弁護士へ相談し、話す内容や準備する物を整理しておくことをおすすめします。逮捕されていない人は出頭を断ることもできますが、無視はせず、都合が悪ければ日程の変更を相談してください。呼び出しを受けたこと自体は、犯罪をしたと認められたことを意味しません。

目次

この記事で分かること

  • 呼び出しを受けたときに確認すること(用件・立場・日時)
  • 出頭は断れるのか、応じない場合のリスク
  • 出頭前に本人と家族が準備すること
  • 弁護士に相談するタイミングと、相談時に伝えること

警察の呼び出し(任意出頭)とは

警察の呼び出しとは、警察が捜査のために、事件の関係者に警察署などへ来るよう求めることです。刑事訴訟法に基づく出頭の求めで、「任意出頭」とも呼ばれます。逮捕のように、強制的に連れて行く手続ではありません。

呼び出しは、電話や呼出状(書面)で行われます。警察官が捜査で守るべき規則では、出頭の日時・場所・用件などを、呼び出す相手に伝えることとされています(犯罪捜査規範102条)。

被疑者として呼ばれるか、参考人として呼ばれるか

呼び出しを受ける人の立場は、主に次の2つです。

立場 どんな人か 注意点
被疑者 犯罪の疑いをかけられている人 取調べの前に黙秘権(話さなくてよい権利)が告げられる
参考人 被害者や目撃者など、被疑者以外の人 話の内容によって、被疑者として扱われることがある

参考人には、黙秘権を告げるよう定めた規定はありません。ただし、自分に不利益な供述を強要されないことは、憲法38条1項ですべての人に保障されています。

20歳未満の人が犯罪の疑いで呼び出された場合は、少年事件の手続が関係します。少年事件で子どもが警察に呼ばれたときの解説もご覧ください。

呼び出しは断れる?応じない場合のリスク

逮捕や勾留(逮捕に続く身体拘束)をされていない人は、法律上、出頭を断ることができ、出頭した後もいつでも帰ることができます。被疑者だけでなく、参考人も同じです。

ただし、連絡をせずに応じないことはおすすめできません。法律上、30万円(刑法など一部の法律以外の罪は2万円)以下の罰金などに当たる軽い罪は、逮捕状による逮捕ができる場合が限られています。そうした軽い罪でも、正当な理由なく出頭の求めに応じない場合は、逮捕できるとされています。それ以外の罪でも、呼び出しへの対応は、逮捕の必要性の判断に影響する可能性があります。

都合が悪いときは、無断で欠席せず、日程の変更を相談しましょう。迷うときは、先に弁護士に相談してください。

根拠:刑事訴訟法198条・199条・223条、犯罪捜査規範102条

出頭前に準備すること

本人が準備すること

  1. 呼び出しの内容を記録する

    警察署名、担当部署、担当者名、連絡先、出頭の日時と場所を控えます。用件、自分の立場、持参する物、所要時間の目安も確認します。

  2. 日程を調整する

    都合が悪い場合や、先に弁護士へ相談したい場合は、早めに担当者へ連絡します。

  3. 記憶を整理し、時系列のメモを作る

    いつ、どこで、誰と、何があったかを順に書き出します。覚えていることと、推測や人から聞いたことは分けて書き、はっきりしない点を推測で埋めないようにします。

  4. 関係する資料をそのまま保管する

    メッセージや通話の履歴、写真、レシートなどは、削除や書き換えをせずに残します。消したり変えたりすると、証拠を隠そうとしたと疑われ、逮捕や勾留の判断で不利になるおそれがあります。関係者と話を合わせることや、被害者に直接連絡することも避けてください。

  5. 持ち物を確認する

    呼出状が届いていれば持参し、警察から指示された物(例えば、身分証明書や印鑑)も確認します。

家族ができること

家族は、弁護士探しや相談の予約を手伝えます。出頭の日時・警察署・弁護士の連絡先を共有しておけば、万一逮捕されたときも、家族から弁護士に連絡できます。ただし、どう話すかや、示談(被害者との話合いによる解決)をするかは、本人が決めることです。家族が代わりに決めたり、関係者に口止めをしたりしないでください。

弁護士に相談するタイミングと伝えること

取調べに弁護士が立ち会う権利を定めた法律の規定はなく、捜査機関が立会いを認めることもほとんどありません。そのため、取調べでどう話すかは、出頭日より前に弁護士と相談して決めておくことが大切です。

相談では、呼び出しの記録や時系列のメモ、手元の資料をもとに事実関係を説明します。前科(有罪判決を受けた経歴)や前歴(被疑者として捜査を受けた経歴)の有無、仕事や家族の状況も伝えてください。弁護士は、逮捕の可能性を含む見通しや、取調べへの対応方針を助言します。

事実に心当たりがない場合

整理した記憶や、自分の説明を裏付ける資料をもとに、何を話すか、黙秘するかを弁護士と相談して決めましょう。黙秘は法律上の権利ですが、事実と違う説明をすることとは異なります。うその説明は、かえって不利になるおそれがあります。

事実を認めている場合

被害者がいる事件では、被害弁償や示談を検討することがあります。被害者への直接の連絡は、圧力と受け取られたり負担をかけたりするおそれがあるため、弁護士を通じて進めましょう。示談は処分を判断する事情の一つですが、結果は事件ごとに異なります。

出頭当日の流れと注意点

被疑者として取調べを受ける場合は、始まる前に黙秘権が告げられます。話した内容は、供述調書(取調べの内容をまとめた書面)に記録されることがあります。

供述調書は、読み聞かせや閲覧で内容を確認でき、誤りがあれば訂正を申し立てられます。署名押印を求められても、拒むことができます。内容が正確か分からないまま署名しないようにしましょう。詳しくは取調べ前に知っておきたいことの解説をご覧ください。

取調べは1回で終わるとは限らず、捜査の状況によっては後に逮捕される場合もあります。警察での捜査が終わると、事件は原則として検察官に送られ(送致)、検察官が起訴するか(裁判にかけるか)どうかを判断します。逮捕されずに進む場合の流れは、在宅事件の解説をご覧ください。

根拠:刑事訴訟法198条・246条

よくある質問

Q1.警察を名乗る電話が本物か分からないときは、どうすればよいですか?

警察官を名乗ってお金をだまし取る詐欺が起きており、静岡県警察も注意を呼びかけています。警察庁によると、本物の警察官がメッセージアプリで連絡したり、逮捕状の画像を送ったりすることはありません。不審な場合は、相手が伝えた番号に折り返さず、最寄りの警察署か警察相談専用電話(#9110)に相談してください(警察庁「ニセ警察詐欺に注意!」)。

Q2.警察の取調べの後、検察庁からも呼び出されますか?

事件が送致された後に、検察官から呼び出される場合があります。検察官の呼び出しも、警察と同じく刑事訴訟法198条・223条に基づくもので、逮捕・勾留されていなければ出頭を断れることや、黙秘権、供述調書の扱いは警察の場合と同じです。検察官は起訴するかどうかを判断するため、この段階でも事前に弁護士へ相談しましょう。

Q3.取調べは何時間くらいかかりますか?

所要時間や回数は、事件の内容によって異なります。犯罪捜査規範は、やむを得ない場合を除き、深夜や長時間の取調べを避けるよう定めています。午後10時から午前5時までの間や、1日8時間を超えて被疑者を取り調べるには、警察本部長か警察署長の承認が必要です(同規範168条3項)。

まとめ

警察の呼び出しは任意出頭の求めで、逮捕されていなければ断れますが、無視はせず日程を相談しましょう。
出頭前に、記憶の整理、資料の保管、持ち物の確認を進めておきます。
まずは呼び出しの内容を記録し、取調べでどう話すかを、出頭日より前に弁護士と相談してください。
ご相談はお問い合わせページから受け付けています。

関連記事

  • URLをコピーしました!
目次