示談金が高すぎると感じたら|金額を左右する事情と交渉の注意点

示談金には、法律で決まった金額や固定的な相場はなく、被害の内容や被害者の意向などを踏まえた話合いで決まります。高すぎると感じたときは、弁護士を通じて内訳と条件を確認し、支払える範囲で誠実に提案することが基本です。すぐに断ったり、支払えない額を約束したりするのは避けましょう。被害者の請求が高額でも、それだけで不当とはいえません。

目次

この記事で分かること

  • 示談金に決まった金額がない理由と、金額に影響する事情
  • 金額とあわせて確認したい示談書の条件
  • 高すぎると感じたときの進め方と、交渉で避けたいこと
  • 合意できない場合の影響と、話合いの期限

示談金とは|法律で決まった金額はない

示談金とは、示談(被害者と話し合って合意し、民事上の解決をすること)の中で、本人(疑いをかけられている人)側が支払うお金です。被害弁償(生じた損害の埋め合わせ)や慰謝料(精神的な苦痛への賠償)に当たる部分が含まれることがあります。

金額に法律上の決まりや基準はありません。法テラスも、被害の大きさや支払能力などの事情をもとにしつつ、被害者が納得できるかどうかが一番大事だと案内しています(法テラス「刑事事件における示談金の目安はいくらですか」)。

示談金の額に影響する主な事情

同じ罪名でも、示談金の額は事件によって大きく異なります。例えば、次のような事情が影響します。

  • 財産的な損害:盗まれた物や壊された物の価値、治療費、通院の交通費、仕事を休んだことによる収入の減少など
  • 精神的な苦痛:被害の程度、被害者が感じた恐怖や不安、生活への影響など
  • 事件の内容:行為の態様、回数や期間など
  • 示談の条件:示談書にどのような条項を入れるか
  • 被害者の意向と、本人側の支払能力

支払能力は、損害の大きさを変えるものではありません。ただ、実際に支払える額や方法を話し合ううえでは大切な事情です。

精神的な苦痛も、法律上、賠償の対象となる損害です。その大きさは、外から見える被害の程度だけでは判断できません。インターネットなどで見る金額も、条件の違う事件の例にすぎません。

根拠:民法709条・710条

金額とあわせて確認したい示談書の条件

示談金の額は、示談書に入れる条件と関係します。金額だけでなく、支払によって何が解決されるのかを確認しましょう。

条項の例 主な内容
宥恕(ゆうじょ)条項 被害者が本人を許し、処罰を求めない意思を示す
清算条項 示談書に定めたほかに、互いに請求しないことを確認する
被害届の取下げ・告訴の取消し 行うかどうかは被害者の意思による
支払方法 一括か分割か、支払期限、遅れた場合の扱い

例えば清算条項を入れると、被害者は原則として後から追加の請求をしないことになります。そのため、将来の治療費なども見込んだ金額が示されることがあります。なお、被害届が取り下げられても、捜査や処分が当然に終わるわけではありません。

示談金が高すぎると感じたときの進め方

疑われている事実に争いがある場合は、示談をするかどうかから弁護士と相談してください。事実を認めている場合は、次の順序で進めるのが基本です。

  1. 提示された金額と条件を記録する(本人・家族)

    被害者側から直接示された場合も、その場で約束したり断ったりせず、弁護士に伝えます。

  2. 支払える額と時期を整理する(本人)

    収入や預貯金、毎月の支出から、一括で払える額と、分割なら月にいくら払えるかを確認します。家族が援助する場合も、示談の条件は本人の意思を確認して決めます。

  3. 内訳と根拠を確認する(弁護士)

    弁護士が被害者側に、治療費や修理費などの内訳を尋ね、分からない点を丁寧に確認します。資料を示すかどうかは被害者の判断で、無理に求めるものではありません。

  4. 支払える範囲で提案する(弁護士)

    謝罪の気持ちとともに、支払える額とその理由を伝えます。例えば、分割払いや支払時期の調整、金額がはっきりしている損害の被害弁償を先に行うことを提案します。応じるかどうかは被害者が決めます。

  5. 内容を理解してから示談書に署名する(本人)

    支払額や各条項の意味を弁護士と確認します。分割払いでは、支払が遅れると残額を一括で支払う約束が入ることもあります。支払えない額を約束すると、被害者をさらに傷つけるおそれがあります。

金額の交渉で避けたいこと

  • 被害者に直接連絡して減額を求める

    被害者の負担になり、圧力と受け取られるおそれがあります。詳しくは刑事事件の示談交渉の解説をご覧ください。

  • 請求を「高すぎる」「不当だ」と責める

    金額には、被害者が受けた苦痛や不安が反映されていることがあります。被害を小さく見せる説明もしないでください。

  • 面会を強く求める、威圧的に迫る

    被害者やその親族に対し、正当な理由なく面会を強く求めたり、威圧的な言動をしたりしてはいけません。証人等威迫罪(刑法105条の2)に当たるおそれがあります。

  • 供述の変更や被害届の取下げを迫る

    合意の条件は、被害者の意思を尊重して決めるものです。

性犯罪など被害者の精神的な負担が特に大きい事件では、金額の話を急がず、心情に配慮して進めることが大切です。

合意できないときの影響と話合いの期限

刑事手続への影響

検察官は、犯罪後の情況なども考慮して、起訴しないこと(起訴猶予)ができます。示談が成立しなくても、被害弁償の申出や支払の状況を、弁護士から検察官に伝えることがあります。どこまで考慮されるかは事件によって異なり、示談が成立しても不起訴になるとは限りません。不起訴の種類は不起訴処分に向けての対応をご覧ください。

民事の賠償

示談が成立しない場合、被害者は民事裁判などで損害賠償を求めることができます。その場合は裁判所が証拠に基づいて賠償額を判断するため、提示された額と同じになるとは限りません。刑事の処分が決まっても、賠償責任が当然になくなるわけではありません。

話合いの期限の目安

  • 逮捕・勾留中の事件:起訴前の勾留は、勾留請求の日から原則10日、延長されると通算20日までです。処分はこの期間内に判断されることが多いため、話合いの時間は限られます。
  • 親告罪(告訴がなければ起訴できない罪。器物損壊など):告訴の取消しができるのは、起訴されるまでです。
  • 在宅事件:勾留のような期限はありませんが、検察官の処分の前に経過を伝えられるよう進めます。

起訴された後も話合いを続けることはでき、刑の重さを決める際に考慮される場合があります。

根拠:刑事訴訟法208条・237条・248条

よくある質問

Q1.インターネットで見た相場の額を払えば足りますか?

足りるとは限りません。示談は合意で成立するため、どの額で合意できるかは事件ごとに異なります。一方で、提示された額にそのまま応じる義務もありません。内訳と条件を確認したうえで、支払える範囲の提案を検討しましょう。

Q2.弁護士に依頼すれば、示談金は下がりますか?

下がるとは限りません。弁護士は内訳や条件を確認し、被害者の意向を尊重しながら、双方が合意できる内容を探ります。金額は変わらず、支払方法の調整で合意することもあります。なお、弁護士費用は示談金とは別にかかります。当事務所の費用の目安は費用ページに掲載しています。

Q3.いったん合意した示談金を、後から減らしてもらえますか?

示談は当事者の合意(契約)なので、一方の都合だけで金額を変えることはできません。支払が難しくなったときは、放置せず、早めに弁護士を通じて事情を伝え、支払方法の変更を相談します。応じるかどうかは被害者の判断です。

まとめ

示談金に法律で決まった金額はなく、被害の内容や示談の条件、被害者の意向などによって変わります。
高いと感じても請求を不当と決めつけず、弁護士を通じて内訳と条件を確認しましょう。
支払える範囲で分割払いや被害弁償などを提案し、支払えない額は約束しないことが大切です。
まずは提示された金額と条件、支払える額を整理して、弁護士に相談してください。
ご相談はお問い合わせページから受け付けています。

関連記事

  • URLをコピーしました!
目次