家族が逮捕されたら弁護士にどう依頼する?手順と相談時に伝えること

家族が逮捕されたときは、配偶者、父母や子などの直系の親族、兄弟姉妹が、本人とは別に弁護士へ依頼できます。弁護士会の当番弁護士にも、家族から申し込めます。相談の際は、まず本人の氏名・生年月日と、留置されている警察署を伝えてください。容疑の内容などが分からなくても、分かる範囲の情報で相談を始められます。

目次

この記事で分かること

  • 家族が弁護士に依頼できる根拠と、依頼できる家族の範囲
  • 当番弁護士・私選弁護人・国選弁護人の頼み方の違い
  • 家族が弁護士に依頼するまでの流れ
  • 相談時に弁護士へ伝える情報のチェックリスト

家族は本人とは別に弁護人を選任できる

弁護人とは、犯罪の疑いをかけられている人(被疑者)の側に立ち、取調べへの助言や釈放に向けた活動などを行う弁護士です。逮捕されたことは、犯罪をしたと認められたことを意味しません。

本人は、いつでも弁護人を選任できます。さらに、配偶者、直系の親族(父母・祖父母・子・孫など)、兄弟姉妹なども「独立して」選任できます。本人から頼まれていなくても、家族の判断で弁護士に依頼できるということです。

根拠:刑事訴訟法30条

ただし、家族が依頼した場合も、弁護士は本人の弁護人として活動します。家族の初動全体は、家族が逮捕されたら最初にすべきことで解説しています。

家族から頼めるのは当番弁護士と私選弁護人

弁護士を付ける方法は主に3つあり、家族から頼めるかどうかが異なります。

方法 家族からの依頼 ポイント
当番弁護士 できる 弁護士会に申し込む。初回の面会1回は無料
私選弁護人 できる 法律事務所と契約する。費用は事務所ごと
国選弁護人 できない 勾留の段階で本人が裁判官に請求する

当番弁護士:家族から弁護士会に申し込める

当番弁護士は、弁護士が1回無料で、逮捕された人に面会に行く制度です。申込先は、本人がいる警察署がある地域の弁護士会です。静岡県内なら、静岡県弁護士会の各支部が受け付けています。

同会の案内では、家族が申し込むときは、申込者の氏名・連絡先と、本人の氏名・性別・生年月日・逮捕されている場所を伝えます。受理から原則として48時間以内に、弁護士が面会に行くとされています(静岡県弁護士会「警察に逮捕されてしまったら」)。

面会後に本人が希望すれば、その弁護士に弁護を依頼できます(原則有料)。すぐに費用を用意できなくても、その弁護士が国選弁護人になれる場合があります。援助制度(刑事被疑者弁護援助)を使って弁護人を付けられる場合もあります。

私選弁護人:家族が法律事務所と契約できる

私選弁護人は、本人や家族が弁護士と直接契約して選任する弁護人です。依頼先を選ぶことができ、逮捕直後から依頼できます。知り合いの弁護士がいなければ、静岡県弁護士会の私選弁護人紹介手続も利用できます。当事務所の費用の目安は費用ページに掲載しています。

国選弁護人:勾留の段階で本人が請求する

国選弁護人は、貧困などの理由で弁護人を選任できない被疑者のために、裁判官が付ける弁護人です。勾留(逮捕に続いて身体拘束を続ける手続)が請求された後に、本人が請求します。家族からは請求できません。

請求には資力申告書が必要です。資力が基準額(50万円)以上の場合は、先に弁護士会へ私選弁護人の選任を申し出る必要があります(法テラス「刑事事件」)。また、家族が私選弁護人を選任している場合、国選弁護人は付きません。

根拠:刑事訴訟法37条の2・37条の3

家族が弁護士に依頼するまでの流れ

逮捕から最長72時間のうちに、検察官が勾留を請求するかを判断します。その前に弁護士が面会できるよう、早めに依頼を検討しましょう。私選弁護人の場合、一般的な流れは次のとおりです(細部は事務所により異なります)。

  1. 警察からの連絡内容を控える

    警察署名、担当部署、容疑(罪名)など、伝えられた内容をメモします。

  2. 法律事務所に連絡し、状況を伝える

    電話やメールフォームで連絡し、相談の日時を決めます。

  3. 見通しと費用の説明を受けて契約する

    今後の見通しや費用の内訳、追加費用が生じる条件、依頼する範囲を確認し、納得できたら委任契約を結びます。

  4. 弁護士が本人と面会し、意思を確認する

    家族から依頼を受けた弁護士は、正式な選任の前でも本人と面会(接見)できます。家族が面会できない場合でも、警察官の立会いなしで話を聞けます。

  5. 弁護人選任届を提出し、弁護活動が始まる

    選任した人(本人または家族)と弁護士が署名した書面を、警察や検察官に提出します。

根拠:刑事訴訟法39条1項・205条

当事務所でのご相談の流れは、ご相談の流れをご覧ください。

相談時に弁護士へ伝える情報チェックリスト

次の情報を、分かる範囲で整理しておきましょう。分からない項目を無理に調べる必要はありません。

最初に伝えたい情報(面会の手配に必要)

  • 本人の氏名(読み方)・性別・生年月日
  • 本人がいる警察署(分からなければ、連絡があった警察署)
  • 逮捕された日時
  • 容疑(罪名)と、警察から聞いた事件の概要
  • 相談者の氏名・連絡先と、本人との関係

本人が20歳未満の場合は、成人とは異なる少年事件の手続で進みます。

弁護方針を考えるために伝えたい情報

伝える情報 役立つ場面
被害者がいる事件か 示談を検討するかどうか
前科・前歴の有無 処分の見通しの検討
持病・服薬・通院先 留置中の体調への配慮
勤務先・学校 拘束が続く場合の影響と連絡方法
同居の家族、身元引受人になれる人 釈放を求める際の事情
費用を用意できる見込み 私選か、国選・援助制度か

前科は有罪判決を受けた経歴、前歴は捜査の対象になった経歴を指すのが一般的です。身元引受人は、釈放後に本人の生活を監督する人です。静岡県警察の案内では、医薬品は差し入れできない物とされています。持病や服薬があれば、早めに弁護士へ伝えてください。

依頼した後に家族が気をつけること

  1. 取調べや示談の方針は本人が決める

    罪を認めるか、何を話すか、示談を申し入れるかは、弁護士が本人の意思を確認したうえで決めます。費用を負担していても、家族が本人に代わって決めることはできません。

  2. 被害者や事件の関係者に直接連絡しない

    家族からの連絡は、圧力や口裏合わせと受け取られるおそれがあり、被害者の負担にもなります。示談は弁護士を通じて検討します。本人の携帯電話や書類なども、処分・変更しないでください。

  3. 本人への伝言は内容に気をつける

    弁護士を通じて伝言を届けられる場合がありますが、口裏合わせや証拠の処分につながる内容は伝えられません。

よくある質問

Q1.交際相手や友人でも、弁護士に依頼できますか?

法テラスの案内では、当番弁護士は友人などからも申し込めるとされています。ただし、本人とは別に弁護人を選任できるのは、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹など法律で定められた人です。それ以外の方からの依頼では、選任するかどうかを本人が決めることになります。

Q2.国選弁護人が付いた後に、家族が私選弁護人に依頼できますか?

依頼できます。私選弁護人が選任されると、国選弁護人は必要がなくなったとして解任される場合があります(刑事訴訟法38条の3)。切り替えるかどうかは、本人の意向も確認して判断しましょう。

Q3.弁護士から、本人が話した内容をすべて教えてもらえますか?

すべてを教えてもらえるとは限りません。弁護士には職務上知り得た秘密を守る義務があり(弁護士法23条)、本人の意向を踏まえて家族に伝える内容を判断します。本人の様子や手続の見通しなど、伝えられる範囲で報告を受けます。

まとめ

配偶者・直系の親族・兄弟姉妹などの家族は、本人とは別に弁護人を選任できます。
家族から頼めるのは当番弁護士と私選弁護人で、国選弁護人は勾留の段階で本人が請求します。
取調べや示談の方針は、弁護士が本人の意思を確認して決めます。
まずは本人の氏名・生年月日と留置先の警察署を確認し、弁護士に連絡してください。
ご相談はお問い合わせページから受け付けています。

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